2024年1月26日にJTBトラベル&ホテルカレッジ様にて、巣鴨信用金庫様にご協力いただいた産(金)学連携授業「データマーケティング講座Ⅰ 第14回ワークショップ ~令和時代における”巣鴨地蔵通り商店街の活性化”に向けたアイデアを考える~」の発表会が開催されました。
JTBトラベル&ホテルカレッジ様は観光分野でのデータマーケティング教育に取り組まれており、2月に開催したDream成果発表会にも出場されています。
今回は学内発表会の様子をご紹介いたします。

学習テーマ

 

「データマーケティング講座Ⅰ 第14回ワークショップ ~令和時代における”巣鴨地蔵通り商店街の活性化”に向けたアイデアを考える~」

この授業では巣鴨信用金庫様からいただいた地域活性化をテーマに、JTBトラベル&ホテルカレッジからすぐ近くにある巣鴨地蔵通り商店街を活性化させるアイデアについてグループワークを含め全5回の授業を実施しました。

 

「巣鴨地蔵通り商店街」とは

JR・都営三田線巣鴨駅から都電荒川線の庚申塚停車場までをつなぐ800mほどの商店街です。
巣鴨で最もにぎわいを見せる通りであり、約200店舗が軒を連ねています。
巣鴨と言えば「おじいちゃんおばあちゃんの原宿」と言われるように、ご高齢の方が集う街として知られていますが、繁華街池袋駅までは電車で5分ほどとアクセスも良く、最近はレトロな雰囲気が若者に人気があり、あらゆる世代にとって居心地がよい街です。
毎月4日、14日、24日と4が付く日は、とげぬき地蔵尊の縁日のため巣鴨地蔵通り商店街には露店が並び、賑わいます。

 

講評者紹介

巣鴨信用金庫
今回ご協力いただきました巣鴨信用金庫様は、巣鴨を拠点に1922年(大正11年)創業以来、100年以上の歴史を持つ、地域に根差した金融機関です。
2005年には金融機関として初めて「ホスピタリティ」を商標登録し、「人に対する優しさと思いやりを心根に持つこと」を掲げ、人の喜びや悲しみに共感できる感性を大切に、きめ細かな心配りで地域の皆様に寄り添っています。
巣鴨信用金庫では、縁日で巣鴨地蔵通り商店街が賑わう4の付く日は本店の3階をおもてなし処として一般に無料開放していました。(現在は休止中)
発表会には巣鴨信用金庫様から3名ご参加いただき、商店街を盛り上げる学生達のアイデアについて講評いただきました。

 

また、Dream正会員でもあり、データマーケター養成講座の授業で活用されている「Dolphin Eye」や「ウレコン」を展開している株式会社True Dataの野村様にも講評いただきました。

 

株式会社 True Data
アナリティクス&テクノロジー部
アナリティクス・ソリューショングループ
野村 幸志郎様

 

学生によるプレゼンテーション

学生達は4班に分かれ、それぞれターゲットを決めてRESASをはじめとする様々なデータを活用し、巣鴨地蔵通り商店街の活性化に向けた企画を考えました。
各班8~10分間でプレゼンテーションを行った後、巣鴨信用金庫 志村様よりコメントやご質問をいただきました。学生達は質問の真意をしっかり考えながら答えていました。

 

Dream編集部が注目した各班の発表ポイント!

【A班】巣鴨の活性化 ~ファミリー層での楽しめる商店街~

 

A班は「4の付く日」とそれ以外の日の巣鴨の来訪者の層が異なることに着目。豊島区の滞在人員データから、埼玉県からの流入が多いこと、そして世帯人員数にファミリー層が少ないことから、今回はファミリー層をターゲットとした企画を考えました。
商店街のイベントとして「うなイベチケゲ!」と題し、うなぎのつかみ取りイベントや、商店街の入り口にマップを設置するなどのアイデアがありました。
苦労した点として「的確なデータやグラフを収集するのがとても難しかった」と話していましたが、A班の皆さんはデータを活用し丁寧に仮説を立てていました。

 

 

【B班】巣鴨地蔵活性化 ~ 若い人でも楽しめる商店街~

 

B班は「お年寄りの街のイメージが強いこと」や「駐輪場が少ない」ことを課題に挙げ、メインターゲットを若者に設定しました。
若者のInstagramの利用率やハッシュタグトレンド情報をもとに、商店街独自のSNS連動型イベントを企画しました。ハッシュタグ投稿特典、平日や雨の日限定イベント、LINEを活用した商店街オリジナルポイントカード、学割などの具体案がありました。また副次的な展開として、B班はメディア取材まで視野に入れて企画を考えられていたところがとても印象的でした。

 

 

【C班】巣鴨地蔵通り商店街の活性化計画 ~山手線で体験できる昭和レトロ~

 

C班は巣鴨地蔵通り商店街について「店舗の閉店時間が早い」、「若者は巣鴨駅事態を良く知らない」などを課題に挙げ、15~22歳の女性にターゲットを絞りました。
休日の過ごし方のデータや、Instagram2022年のトレンドに「カフェ巡り」や「カフェ」が若者に絶大な人気があることから、巣鴨ならではのレトロ感に注目。また、巣鴨は都心にありながらリラックスして過ごせる街として、レトロ喫茶やカフェへの誘導企画を立案しました。
商店街で使用できる割引ガチャや地蔵通り公式Instagramの開設、LINEショップカード導入を上げ、紙を使わないSDGsを意識した取り組みになることをアピールしていました。

 

 

【D班】巣鴨地蔵通り商店街活性化について ~池袋に憧れるのをやめましょう~

 

D班はSWOT分析や巣鴨地蔵通り商店街理事長へのインタビュー、フィールドワークを実施しました。課題として巣鴨地蔵通り商店街には放置自転車の多さ、人通りがあっても店舗の入口が入店しづらい状況やゴミ箱が少ないことなどを挙げていました。そこで、食べ歩きができる商店街、そして放置自転車を減らし、商店街の各店舗への入店のしやすさを考えました。他自治体の取組みを参考に、時報や店舗・商品紹介のアナウンスに地域の小学校・中学校の生徒の音声を流すアイデアや、小学生が作成した放置自転車防止の喚起ポスターの地面への設置などを発表。商店街の既存顧客への視点による改善案が結果として新規顧客の呼び込みにつながりそうな具体的な企画でした。

 

 

なお、D班はこの内容をさらにブラッシュアップし、クラスを代表してDream成果発表会2023年度後期に出場しています。

総評

巣鴨信用金庫 常務理事 志村様

学生の皆様のアイデアは若者ならではの新しさがあり、そして実現性の高い具体的な提案で驚きました。企業側にも大変参考になる内容でした。またプレゼンテーション資料では、黒背景に白抜き文字でインパクトを出すなど見せ方にもこだわりを感じ、真剣に取り組んでくださったことが良く伝わってきました。巣鴨地蔵通り商店街の未来は明るいと思いました。今回の学びを今後に活かしていただきたいです。

巣鴨信用金庫 本店営業部 部長 齋藤様

今回の発表は集客がきちんと収益につながるアイデアがたくさんあり、素晴らしかったです。この視点はとても重要です。社会に出てもこの経験を活かしていただきたいです。本日はありがとうございました。

 

巣鴨信用金庫 本店営業部 課長 石浜様

私も自転車で巣鴨を営業しているので、商店街の自転車問題は非常に危ないと感じていました。環境面にも課題があるという気付きは素晴らしいです。学生の皆様のプレゼンテーションを受け、我々も真剣に地域のことを考えていかなくてはと思いました。本日はありがとうございました。

株式会社True Data 野村様

学生の皆様ならではの、とてもユニークなアイデアを見ることができ、大変良かったです。様々なデータを使って提案資料を作成してくださいましたが、データを活用する際には引用先を明示することをルールとして覚えておいてください。そして資料を初めて見る人はグラフの内容やテキストを読み込むのに時間がかかります。見る側の視点を持ち、資料のわかりやすさにも気を配るともっと説得力が増すと思います。また5W1Hといったフレームワークを活用していただくと、全体像をとらえて考えを整理することができると思います。これからもこの学びを活かして頑張ってください。

 

また、オブザーバーとして参加されていた坂本校長からもコメントをいただきました。

 

坂本 友理校長

同じテーマを扱っても、4班全て異なるターゲットに目を向けられたことは大変素晴らしかったです。
ペルソナに挙げていた「若者」、「ファミリー層」の定義をしっかりつくることができれば、課題に対してもっとフォーカスできたと思います。例えばいつも巣鴨で行われているTV局の街頭インタビューでは、お年寄りばかりが声をかけられています。そこで若者を取材してもらえるような仕掛けが作れると巣鴨商店街の課題解決の可能性はもっと広がると思います。
また皆さんが課題として挙げていた「店舗の閉店時間の早さ」は巣鴨に限らず、日光や浅草といった観光地でも同様に閉店時間が早いです。閉店時間の早さの裏には、実はその街ならではのキーワードが隠れています。それを見つけるためにはデータ分析でわかること、足を運んでみて気が付くことなどアプローチの方法はたくさんあります。巣鴨は住んでよし、訪れてよしの街です。事象の裏に隠れているキーワードに目を向け、色々な発見からアイデアを形にしましょう。

 

最後にこの授業をご担当された髙野先生からコメントがありました。

 

髙野 雅巳先生

これから皆さんがプレゼンテーションをする場面はたくさん訪れます。授業や学校生活で学んだ基本を大切にしてほしいです。そして発表態度だけではなく、資料作成にも気を配りましょう。例えばグラフを使用するスライドはメッセージを短くする、テキストの内容は読み手にわかりやすい表現で記載するなど、少しの工夫することでもっと相手に内容が伝わりやすくなります。
また、データを活用するうえで身につけた俯瞰的そして論理的思考力は、グループディスカッションにも活かすことができます。すなわち、皆さんの就職活動にも活かすことができる、自分の強みになる力です。
この経験を糧に、これからの学生生活そして就職に向けて頑張りましょう。

 

 

常識や定説にとらわれない発想によるイノベーションの創出は、産業界・経済界の歴史の中で繰り返されてきました。今回の産(金)学連携授業を通して学生ならではの柔軟な思考や豊かな発想は、これからのイノベーションにつながるのではないかと、改めて感じました。
データマーケティングを活用することで、アイデアに説得力を持たせることができていました。また資料作成やチームでの連携、プレゼンテーションスキルなど、地域で活躍できるデータマーケティング人材としてのコアスキルを身につけることができたと思います。学生の皆様にはぜひデータマーケティング養成講座で学んだことを、今後に活かしていただきたいです。